桜まつりの収入は課税対象? 5年で1.4億円、税務署と自治体協議

南島信也
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 伊豆半島に早春を告げる静岡県河津町の一大イベント「河津桜まつり」が、2月1日の開幕を前に大きく揺れている。実行委員会は駐車場料金や露店の出店料として得た収入の消費税を納めてこなかったが、税務当局が課税対象と判断すれば納税しなければならなくなるためだ。町は30日、消費税の解釈について下田税務署と協議したが、この日は課税か非課税かの結論は出なかった。

 桜まつりは町と町観光協会、町商工会などで組織する実行委員会が主催。仮設トイレの設置や交通整理、ごみの処理などまつりの運営費を臨時駐車場料金や露店の出店料でまかなってきた。町などによると、2019~23年で約1億4500万円の収入があった。

 実行委は「公益的な運営で、収益目的ではない協力金として徴収していたため、消費税の課税対象にはならない」と解釈し、これまで税務当局からの指摘もなかったという。

 国税庁によると、基準期間の課税売上高が1千万円を超えると消費税の課税対象になる。昨年夏ごろ、実行委内部などから課税対象となる可能性が指摘されていたが、実行委は税務当局に確認するなどの対応は取らなかったという。

 木村吉弘副町長と実行委の山田和子会長らは30日、下田税務署(下田市)を訪れ、実行委の組織などについて説明。税務署からは一般論として、駐車場収入は課税対象になるとの説明を受けたという。税務署は今後、詳しく調査をしたうえで、課税か非課税かを判断する。

 また、この日臨時の実行委員会が町役場で開かれ、長年にわたる慣行で消費税が未納になってきたことや、税務署と今後も継続して相談することなどが報告された。委員会後に記者会見した岸重宏町長は「町民にご心配をおかけして申し訳ない」と謝罪。山田会長は「桜まつりは決してもうけるためにやっているわけではないので、課税対象にならないと考えている」と話した。

 桜まつりは1991年に始まった。河津川沿いの約850本の早咲きの河津桜など、一帯に約8千本の桜が咲き、00年は過去最高の約125万人が来場した。今年は2月1~29日に開催され、期間中は70万人の人出が見込まれている。(南島信也)

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