消えた別荘地計画、残った自然の「楽園」 鵜原理想郷 千葉県勝浦市

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 千葉県勝浦市の太平洋に突き出た明神岬の一帯、荒波に浸食されたリアス海岸が続く。南房総国定公園の一部で、断崖や入り江が入り組み、木々や植物が岬の先端まで茂っている。2・3キロのハイキングコースが整備されており、名勝ポイントが複数ある。

午後の日差しに映える鵜原理想郷

理想郷の海岸は南向き。悩みつつ、太陽が傾く午後に現地を目指した。だめなら泊まろう。長い時間をかけ、波に浸食された白い岩の造形が印象的だった。天気がよく、リアス式の崖に強い夕日が当たってコントラストの強い写真になった。今回は日帰りに。朝はどんな表情を見せてくれるのだろう。(相場郁朗)

 大正時代、この地域を別荘地とする計画があり「鵜原(うばら)理想郷」と呼ばれてきた。1923(大正12)年には、現役大臣6人らを招いた大宴会も開かれた。しかし、この年に起きた関東大震災金融恐慌の影響などでユートピア計画は頓挫した。

 古くから文人墨客の心を捉えてきた。与謝野晶子はこの地に滞在して76首の歌を詠んだ。三島由紀夫は短編小説「岬にての物語」で美しい景観を絶賛した。

 2018年には、手弱女平(…

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