国重文の「摘田」工夫の展示 上尾市自然学習館がリニューアル
埼玉県上尾市の上尾丸山公園内にある「市自然学習館」の展示コーナーが、昨年12月に一部リニューアルされた。新たに、2021年に国の重要有形民俗文化財に指定された「上尾の摘田(つみた)・畑作用具」に関する展示が加わった。
「摘田」は稲の栽培方法の一つで、低湿地の田んぼに種もみをじかにまく。上尾地域では1960~70年代ごろまで残っていた。
市によると、同地域は大宮台地の上にあり、用排水路の整備ができないため、摘田による稲作が行われるようになった。
種から育てた苗を植える一般的な方法では、田植え作業が5月ごろになり、同地域の主要作物だった小麦などの収穫時期と重なる。一方、摘田ではそれよりも前に種まきを済ませられるメリットもあったという。
摘田の展示コーナーでは、季節ごとの作業風景を再現したジオラマのほか、農具のレプリカなどが見られる。市の担当者は「自然学習館も台地の上にある。地形的な特徴も体感してほしい」と話している。(小林未来)