第10回ウォークマンを生んだ会長のひとこと 「音」の名を持つソニーの革新

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 自分の好きな音楽を携えて、街を歩く。1979年に発売のソニー「ウォークマン」の登場で、私たちの音楽を楽しむ生活スタイルは、大きく変わった。

 「これまでのテープレコーダーの音と全然違う。自信はあった。でも、ここまでの市場になるとは、想像もしていませんでした」

 元ソニー副社長の高篠静雄さん(80)は、そうふり返る。当時の開発チームのメンバーで、誕生までのいきさつを知るひとりだ。

 「自分の好きな音楽を、いい音で聞きたい」。開発のきっかけは、創業者の井深大名誉会長(当時)から寄せられた一言だという。

 米国出張時、移動中の飛行機でステレオの音楽を聴きたいと思っていた井深氏。78年に発売したモノラルカセットレコーダーをステレオ仕様で聴けるよう、社内で改造してもらった。音質の良さを喜んだ。

人気に火をつけた小柳ルミ子さんや西城秀樹さんの姿

 もう一人の創業者で、名古屋市出身の盛田昭夫会長(当時)も「改造品」に魅了された。79年2月、高篠さんら若手の社員らが盛田氏から呼びだされた。

 「音楽を楽しみたい若者の願…

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    中川文如
    (朝日新聞スポーツ部次長)
    2024年1月6日14時0分 投稿
    【視点】

    学生時代、大のウォークマンユーザーでした。リュックやコートのポケットに押し込んで、通学の満員電車に揺られながら聴いたものです。渡辺美里さん、ヘビロテでした。 あれから、この手のアイテムは日進月歩でコンパクトになっていって、気づけばカセット

    …続きを読む