性暴力を受けた「あなた」への手紙 リロン編集部から

Re:Ron 編集部から

畑山敦子
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 臨床心理士のみたらし加奈さんが「Re:Ron」(リロン)の連載第5回で、小学生の時に性暴力に遭った自分自身への「手紙」を寄稿した。被害者でありながら自分を責めてしまう「あなた」に、「あなたは尊重されるべき、ひとりの人間」と語りかけた。〈12月5日配信「あなたのせいじゃないよ みたらし加奈さん、『いつかの私』への手紙」(https://www.asahi.com/articles/ASRD44RPRRD4ULLI005.html)〉

 「いやだ」と言えなかった。勘違いをさせてしまったかも。そんな風に振り返ってしまう「あなた」に、「一つたりとも『あなたのせい』はない」と伝えた。この世界には「本当にそんなことがあったの?」などと「自分を責めるための言葉」があふれているとしながらも、性暴力について学んで講演もするようになった自身のその後を踏まえ、「いろんな人たちが被害を告発して、すべてが明るみにでていく出来事も起こる。あなたが感じてきた違和感に、名前がつくようになる」などとして、「あなたはなにも間違っていない」と伝えた。

 「これから先だって、『すべてを忘れる』ことはないのかもしれない。それでも私は生きていくことを選んだ。それだけで十分なんだよ」

 上智大学で先日まで、性暴力に遭った時の被害者の服装を再現した米国発の展示企画「What Were You Wearing?」が日本で初めて開催された。「性被害に遭ったのは露出度の高い服を着ていたからでは」など、いわれなき非難に立ち向かうため、ごく普通の服装であることを示し、服と被害は全く関係ないと訴えた。みたらしさんは、この取り組みに以前から心を寄せ、連載でも紹介していた。声を上げる被害者が中傷を受ける現状をふまえ、自らのトラウマと向きあい、展示に合わせて執筆した。

 傷ついた人に向けてつむがれる、みたらしさんの言葉は優しい。被害者が声を上げづらい現状が変わることを、切に願う。畑山敦子

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