親などから虐待を受けても、施設や里親に保護されるなどの「社会的養護」につながれなかった人は、大人になってもトラウマ、経済的困難などに苦しむ人が多い――。そんな状況が、当事者への調査から明らかになった。
調査を企画した丘咲(おかざき)つぐみさん(48)は、自らも虐待を生き延びた「虐待サバイバー」だ。「虐待は過去にならない。生きづらさが続く現実を知ってほしい」と話す丘咲さんに、思いを聞いた。
――調査報告で「見えなかった子どもたち」と表現しています。
私自身が「見えない存在」でした。
父は会社員で、持ち家に住み、地域活動に熱心な母と3歳上の姉と私。一見、「ふつうの家庭」でした。
でも、母と2人きりのときは、何度も自分を否定され、暴力をふるわれました。
小学生のとき、「おまえは私の奴隷なんだから、頼み事なんかするな」と言われたことが、強く印象に残っています。
台所にいた母にたわいもないことを話しかけ、振り返ってもらえず、何度か話しかけたら、鍋で煮立っていたお湯をかけられたこともあります。
痛くて苦しかったですが、病院に連れて行ってもらえませんでした。ものでたたかれたことも何度もあります。
母自身、進学を希望していたのに高卒で就職したこと、さらにその仕事も結婚・出産後にやめたことで、私と姉がいるから「私の人生はダメになった」と言っていました。
希望がかなわなかったためか、娘の私は勉強では期待され、中学から国立に進学しました。母自身の苦しさも、期待も、すべてが子どもに向かったのかもしれません。
高校1年で起きた異変
私は父からも「みにくい」と…
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