お金は神か、ただの紙か 政権の「打ち出の小づち」化する日銀

有料記事多事奏論

編集委員・原真人
[PR]

記者コラム「多事奏論」 編集委員・原真人

 朝日新聞夕刊でお金をテーマに5回の連載記事を書いたところ、たくさん反響をいただいた。身近なテーマを素材にわかりやすく書いたのが良かったのか。

 夕刊をお読みいただけなかった読者のために、かいつまんで内容を紹介する。タイトルは「お金は神か」だ。

 1万円札も元はただの紙切れ。なぜそれを手に入れるために汗を流して働き、危険な投資や一線を越えた犯罪にまで手を染めるのか。求めあがめ、そのために狂うことさえある、まるで神のような存在なのはなぜか。五つの現場を訪ねた。

 東京都心の日比谷公園では原始時代を描いたマンガのような巨大な石貨を見つけ、貨幣と「信用」について考えた。

 日本銀行貨幣博物館では江戸時代に200超の藩が出したお札に注目した。刷り過ぎて財政を悪化させた赤字藩の存在を知り、いつの世も権力者は紙幣増発の誘惑に流されやすいのだと納得した。

 新札づくりにどれほど時間とコストをかけているかを、紙幣の肖像画を描く国立印刷局の工芸官らへの取材で知った。保秘のため自らの名も顔も明かさない。20年に1度の新札発行で肖像画作者に選ばれても作者名は永久に非公開という。

 退職世代セミナーでは、老後2千万円問題への向き合い方を探ろうと思った。ややもすれば人はお金が人生を楽しむ手段にすぎないことさえ忘れてしまう。

 最後の現場は日本銀行の総裁…

この記事は有料記事です。残り819文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら