親に黙って家族の弁当取りに…埼玉条例案で考えた「にげてさがして」

有料記事序破急

論説委員・市川美亜子=社会社説担当
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 「子ども食堂やプレーパーク、学習支援など、子どもの居場所をめざす活動の現場には、多くの子どもたちが自分の選択で、自分の足で来てくれます。子どもたちだけの外出が一律に禁止されてしまうと、こうした子どもたちの居場所を奪うことになりかねません」

 はっとさせられる文章だった。

 先月、世間を騒がせた埼玉県虐待禁止条例改正案。小学3年生以下の子どもだけでの登下校や公園遊び、留守番までを禁ずる内容に、県内に住む母親や、さいたま市PTA協議会が相次いで反対のオンライン署名を始め、「これでは子育て罰だ」「親たちをこれ以上追い詰めるのか」という怒りの声が全国に広がった。委員会で可決されていた条例案は、1週間で撤回される事態になった。

「働けない」だけじゃなかった……

 学童保育などの環境も整わないなかでこんな条例案が成立すれば、働くことを諦めざるをえない人も出てきかねない。習い事や学習塾は貴重な「預け先」なのに、そこまで送り迎えしろ、となったらどうするのか――。自分自身の「親目線」で危機感を抱いて取材していた。だが、冒頭の文章を読んだ時に、足りていなかった視点を思い知らされた。

 文章は、県内で冒険遊び場や…

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