自閉スペクトラム症の娘が描いた絵 つらいあなたに癒やしと勇気を

有料記事

浦島千佳
[PR]

 自閉スペクトラム症の特性がある名古屋市の中学1年生、柳(リュウ)端娥(ダナ)さん(13)が描く絵画が話題を呼んでいる。日本と韓国で開かれた展示会では作品がほぼ完売。今夏には初めての画集も出版された。端娥さんに絵を描くことを勧めた両親は、つらい気持ちを抱えている人たちに、作品を通して伝えたいことがある。

 端娥さんは韓国出身の父、柳景元(キョンウォン)さん(39)と母、高(コウ)賢鮮(ヒョンソン)さん(42)のもとに生まれた。

 景元さんは学生時代に名古屋市の南山大学に留学するために来日した。端娥さんも生後まもなくから名古屋市内で暮らしている。

 端娥さんは3歳の時、自閉スペクトラム症と診断された。言葉でのコミュニケーションに難しさがある。音や肌触りに敏感だ。

 外からの刺激に強いストレスを受け、一晩中泣きながら壁に頭を打ちつけてしまうこともあった。

 「困難に直面した時に、自分を支えてくれるような趣味を見つけてほしい」

 そう思った両親は、音楽や水泳などさまざまなことを端娥さんと一緒に試してきた。その一つが、絵を描くことだった。

大胆で自由な作品 「美しすぎる」と話題に

 絵筆や指先で、時に歯ブラシや紙コップを使って、キャンバスに絵の具を重ねていく。

 絵の構図や構想は自由で大胆だ。

 「見ていて落ち着く」「美しすぎる」。作品はSNSなどで次第に評判を呼ぶようになった。

 2021年11月、端娥さんが小学5年生の時、両親は初めての個展を名古屋市内で開いた。

 すると、約70点の作品が完売した。翌22年には韓国での展示会に招かれ、ここでも大半の作品に買い手がついた。

 9月、日本音楽療法学会の学術大会のポスターやホームページのメインイメージに作品が採用され、会場で展示会も開かれた。

 展示会に合わせ、交流のあった韓国の出版社から画集「絵で話しかける子」も出版された。

 端娥さんの活動の場が広がっていることに、「ありがたい思いでいっぱい」と母の高さん。「端娥は日常生活で多くの助けを必要としている。そんな端娥の絵が、誰かの助けになれば本当にうれしい」

かつて頭を打ちつけた壁の「穴」 直すように描いた作品

 9月の展示会に出展する作品を作る際、高さんはある「画材」を端娥さんに渡していた。

 壁の穴をふさぐ「パテ」だ…

この記事は有料記事です。残り999文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

【締め切り迫る】有料記事読み放題!スタンダードコースが今なら2カ月間月額100円!詳しくはこちら