AIといえばドラクエⅣ、当時の開発話が論文に 今に導かれしAI観

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野中良祐
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30年以上前、「画期的」だったAIシステム

 ChatGPTチャットGPT)によって急速に社会に普及した感のある人工知能(AI)だが、ファミコン世代はもっと昔からAIに触れている。そう、「ドラゴンクエストⅣ 導かれし者たち」(1990年発売)だ。

 人気シリーズの4作目として、発売時には徹夜の行列もできるなど社会現象となったドラクエⅣ。仲間キャラクターの戦闘行動を自動で選択してくれるAIシステムをシリーズで初搭載した。

 当時、画期的なAIシステムにプレーヤーは胸を躍らせた。ところが、クリフトは効きもしないザキを連発。マーニャはイオラで十分な雑魚にイオナズンをぶっ放す。苦い記憶も残した。

 あの時、何が起きていたのか。当時のAIは今のAIとどうつながっているのか。

 スクウェア・エニックスAI部の三宅陽一郎ジェネラル・マネージャーと坂田新平リードデザイナーが開発者にインタビューした論文が、人工知能学会誌(https://doi.org/10.11517/jjsai.38.5_659別ウインドウで開きます)に掲載された。

 AIを使った戦闘では、仲間キャラはデータを元に行動を決めなければならない。このため、敵のヒットポイント(HP)をすべて知っているという前提になっている。

 単純化すると、攻撃では基本的にHPを減らす期待が高い行動を取る。HPが100の敵と戦う際、ザキが60%の確率で敵を葬れる呪文だとすると、期待としては60の攻撃となる。

 こうした仕組みと、手持ちの呪文の種類との関係で、結果的にクリフトはザキをたくさん唱えるようになりやすい。

 もっとも、AIだけに学習もする。

 学習の仕組みは、同じ敵と遭遇した回数に応じて、行動に一定の倍率をかける。これにより、繰り返し戦う敵に対し、もっとも適した攻撃方法を選択するようになる。

 「深層学習とはもちろん違いますが、当時としては画期的です」と三宅さん。

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