第4回33歳のNewsPicks編集長、動画配信にこだわる理由と必然

有料記事経済ニュースの新旗手たち

聞き手・西尾邦明

【連載】経済ニュースの新旗手たち

ニュースを報じる営みは、これからどう変わっていくのでしょうか。有料の経済メディアとして新境地を切り開く3人に、読まれるための工夫や読者との関係性づくりの方法など、根掘り葉掘り聞いていきます。

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 ニュースサイトから選ばれた記事と、専門家やユーザーのコメントを一緒に楽しめる経済ニュースアプリ「NewsPicks(ニューズピックス)」。グラフィック(図解)を多用した自前の特集記事も売りだ。誕生から10年、最近は有料会員数の頭打ちが指摘される中、新しい価値を模索している。昨年7月に当時32歳で編集長になった泉秀一氏(33)に話を聞いた。

 ――この1年で注力した記事を教えてください。

 昨秋、お届けした「地球極限GREEEN(グリーン)イノベーションジャーニー」です。脱炭素をめぐる世界の最前線を記者が旅する企画で、全6回のうち5回が30分ほどの動画。初の長編ドキュメンタリーです。北欧アイスランドにある大気中の二酸化炭素を直接回収して地中に隔離する施設や、オランダ沖の世界最大の洋上風力発電など5カ国を巡りました。

 ――どれぐらいの反響がありましたか。

 この1年の間で最も時間とお金をかけ、読者の反応も大きいコンテンツになりました。数字の最大化はもちろん大切ですが、もしそれができなくても、新しい価値をユーザーに示すことで、中長期のブランド力や、今回挑戦したことの知見が残り、次のヒット作品につながっていきます。

きっかけはベテラン記者の提案

 ――工夫された点はどこですか。

 企画の狙いは、気候変動に関心が高い一部の人だけでなく、広く興味をもってもらうことです。そのために、YouTuber(ユーチューバー)のようなカジュアルさも採り入れました。たとえば、ストライキで電車に乗れずにあたふたする記者の様子や、たまたま入ったビーガン(完全菜食主義)レストランでの店員との会話など。ナレーターはお笑い芸人パンサーの向井彗さんにお願いしました。

 ――企画のきっかけは何だったんですか。

 ニューヨーク駐在の40代の…

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