G7首脳に「核兵器の破壊求める」 インドネシア大統領、単独取材に

ボゴール=春日芳晃 半田尚子 翁長忠雄
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 インドネシアジョコ・ウィドド大統領が18日、主要7カ国首脳会議G7サミット)への招待国参加を前に、西ジャワ州ボゴールの大統領宮殿で朝日新聞との単独会見に応じた。サミットの広島開催に触れて、米英仏など核保有国の首脳に「核兵器の破壊を求めたい」と明言した。

 サミット参加について「広島は平和のシンボルであり、広島で核兵器について話し合うのは非常に重要なことだ。現地での開催をうれしく思う」と話した。

 ロシアによるウクライナ侵攻で核兵器使用の脅威が高まっていることについてジョコ氏は、「核兵器の使用は許されない。インドネシアは核軍縮のために闘い続け、核の平和利用のみを支持する。我々の立場は明確で確固たるものだ」と説明した。

 G7サミットでは「グローバルサウス」と呼ばれる新興国途上国との連携強化が議題の一つで、インドネシアはグローバルサウスの盟主として招待されている。ジョコ氏は、グローバルサウスは世界人口の85%を占めると指摘したうえで「グローバルサウスが発展する権利は尊重されねばならない」と指摘した。

 今年、日本とは国交樹立65周年を迎えた。日本とインドネシアの経済的な結びつきについては、自動車産業を中心としたこれまでの日本の対インドネシア投資を評価した。ただ、「中国、韓国、ドイツなど(日本の)競争相手は多い。日本にはスピードと積極性を求めたい。日本はすでにインドネシア国内に幅広いネットワークを持っているのだから」と要望した。

 ジョコ氏はインドネシアの第7代大統領。国軍やエリート層出身の大統領が続くなか、2014年、初めての庶民出身のリーダーとなった。愛称「ジョコウィ」。19年に再選され、現在2期目だ。

 中部ジャワ州のスラカルタ出身。父親は大工だった。貧しい家庭で育ち、「起業して成功すること」が小さい頃からの夢だったという。国立ガジャマダ大学で林業を学び、家具の製造・輸出会社を立ち上げた。05年に政治家に転身し、出身地のスラカルタ市長やジャカルタ特別州知事などを経て、大統領に上り詰めた。

 インドネシアは人口2億7300万人で世界第4位。9割近くがイスラム教徒だが、様々な宗教の信徒がおり、約300の民族が暮らす。「多様性の中の統一」が国是。面積は日本の約5倍。1万数千の島々が東西5100キロ、南北1800キロに広がる。オランダ植民地、旧日本軍の占領を経て1945年に独立した。今年は東南アジア諸国連合(ASEAN)の議長国を務めている。(ボゴール=春日芳晃、半田尚子、翁長忠雄)

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