開かれた研究の軍事利用懸念、「一部が不当に流用」 G7科技相声明

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嘉幡久敬 中島嘉克
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 主要7カ国(G7)科学技術相会合が仙台市で開かれ、13日共同声明を公表した。イノベーションを生む自由で開放的な研究環境の意義を強調する一方、「一部の行為者が、開かれた研究環境を不当に利用、ゆがめ、研究結果を軍事的目的のために不正に流用しようとする」などと懸念を示した。

 声明はオープンサイエンス、研究公正、地球規模の課題への対処の三つで構成。人工知能(AI)や量子、バイオ、核融合などの技術が社会課題を解決するイノベーションにつながるが、実現には、自由で開放的な「オープンサイエンス」の環境の確保が重要とした。例として、感染症の世界的な流行に備えて病原体サンプルや遺伝子データを世界で迅速に共有するしくみ作りなども盛り込まれた。また近年、論文の投稿や購読料が急騰して研究費を圧迫し研究成果の共有に支障が出ており、現在の形態に代わる成果共有の手法の重要性に言及した。

 その一方で「一部の行為者が、開かれた研究環境を不当に利用、ゆがめ、研究結果を経済的、戦略的、地政学的、軍事的目的のために不正に流用しようとする可能性」に言及。軍事など複数の用途のある先端技術を倫理的に応用するには、外国の干渉から研究開発を保護する「研究公正」に関するロードマップ策定などの取り組みが重要と訴えた。「千人計画」を掲げて海外から優秀な研究者を集める中国などを念頭に置いたものだが、名指しは避けた。

 G7の作業部会は2022年…

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