「断交」から半世紀 地政学だけでは語れない「台湾」とは何か

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編集委員・吉岡桂子 聞き手
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 米中対立を背景に台湾海峡で緊張が高まり、「台湾有事」への懸念が東アジアを覆う。台湾の存在をどう理解すればよいのか。日本はどう向き合うべきか。日本が中国と国交を正常化し、台湾と「断交」した1972年から、半世紀あまりにわたって台湾研究を続ける若林正丈・早稲田大学名誉教授に聞いた。(編集委員・吉岡桂子)

 ――台湾をめぐる国際的な緊張をどうとらえていますか。

 「二つの視点が必要です。一つは台湾はどこにあるか。もう一つは台湾とは何であるか」

 「前者の地政学的な位置付けは歴史的に変わりありません。台湾は、その戦略的価値をどの大国が握るかで、東アジアのバランスが大きく変わる場所として存在してきました。台湾は争奪の対象となり、帝国の盛衰に巻き込まれてきました。台湾へ国際的な注目が集まる時はパワーの移行期です」

 「国際政治学者の白石隆氏の言葉を借りれば、台湾は中国を中心とする大陸パワーの『陸のアジア』と、海洋パワーとしての『海のアジア』の気圧の谷が行ったり来たりしている場所なのです」

 ――気圧の谷、ですか。

 「西洋列強が海を越えて東ア…

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