「100年マラソン」ではない中国 二つの「罠」から逃れられるか

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聞き手 編集委員・吉岡桂子
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 香港出身のエコノミストで野村資本市場研究所の関志雄さんは1979年、東京大学留学のために来日しました。ハーバード大学教授のエズラ・ボーゲルさんによる「ジャパン・アズ・ナンバーワン」が出版された年です。以来、日本で中国経済の分析を続けている。「チャイナ・アズ・ナンバーワン」(2009年)の著書もある関さんの目に映る中国、そして香港経済とは――。

 ――なぜ、日本へ学びに来たのですか?

 当時、日本経済は上り調子で、アジアから見てあこがれの存在でした。改革開放を始めた中国が先進国を追いかけるには、米国よりもアジアの日本の方が適していると考えていました。香港中文大学で日本語も勉強していました。

 シンクタンクで中国経済の調査・分析を始めたころは、中国がこれほど発展するとは想像してもいなかった。アジア通貨危機の影響を切り抜けた90年代末に地域経済大国になり、米リーマン・ショックを経てグローバル経済大国へと変貌(へんぼう)をとげました。高度成長が40年も続き、中国の貿易に占める日本の割合は80年代は4分の1強ありましたが、今は5.7%に低下しました。逆に、日本に占める中国の割合が2割を超えるようになっています。中国側が学ぼうとすることも、日本が発展した成功体験から、日本がバブルの処理などでうまくいかなかったことの「教訓」へと変わってきました。

 ――中国では鄧小平(トンシアオピン)氏が改革開放の「総設計師」と呼ばれます。その戦略を「100年マラソン」に例える米国の戦略家もいます。

 計画経済から市場経済への移…

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