性犯罪規定、大幅見直しへ 強制性交罪や性交同意年齢 法制審要綱案

田内康介
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 性犯罪をめぐる規定の見直しを検討してきた法制審議会の部会は3日、刑法などの改正に向けた要綱案をまとめた。強制性交罪の要件見直しのほか、13歳だった「性交同意年齢」の16歳への引き上げ、公訴時効の延長、「性的グルーミング罪」の新設など、大幅な見直しとなった。法務省は、法制審の答申を経て今国会に法案提出をめざす。

 現行の刑法では、「暴行・脅迫」を用いれば強制性交罪、酒や薬で「心神喪失・抗拒不能」にすれば準強制性交罪となる。いずれも「被害者の抵抗が著しく困難」でないと成立しないとされ、基準があいまいで無罪判決が相次いでいた。

 要綱案では、両罪を統合したうえで、処罰範囲を明確化するため、暴行・脅迫に加えて「恐怖・驚愕(きょうがく)」「地位の利用」など8項目の行為を例示。こうした行為によって被害者が「同意しない意思」を「形成・表明・全う」することを困難な状態にさせるという要件に改めた。「同意しない意思」は当初は「拒絶の意思」と表現していたが、「被害者側に依然として拒絶義務を課している」と批判され、修正した。

 一方で「意思に反して」という点だけを要件とした規定の導入は、「内心だけの問題になる」として見送った。

時効の延長も

 公訴時効については、強制性交罪は10年から15年、強制わいせつ罪は7年から12年に延長する。18歳未満で被害を受けた場合は、性被害と認識できるまでの時間を考慮し、18歳になるまでの年月を加算して時効をさらに遅らせる。

 性的行為に関して自ら判断できる「性交同意年齢」も見直す。現行は13歳で、小学生に相当する13歳未満への性的行為は同意の有無に関わらず処罰されてきたが、16歳に引き上げて中学生相当の16歳未満まで保護対象とする。一律にすると15歳同士などの恋愛による性的行為も罪に問われるため、13~15歳の場合は、年の差がプラス5歳以上の相手を処罰対象にする。

 わいせつ目的を隠して子どもに近寄る「性的グルーミング」対策として新設する罪では、威迫やうそを伴う16歳未満への面会要求などを処罰する。

 さらに、性的な部位や下着、性交の様子などの盗撮を禁じる「撮影罪」も新設。撮った映像を他人に提供・拡散する行為も処罰する。盗撮行為はこれまで都道府県ごとの迷惑防止条例などで禁じてきたが、統一的な運用が可能になる。(田内康介)

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