高橋奎二の恩師が心を通わせる手段 平安高3年の夏は一緒に泣いた

有料記事高校野球メソッド

構成・安藤嘉浩
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 龍谷大平安高=京都=野球部の原田英彦監督(62)は選手にニックネームをつける。プロ野球セ・リーグで2連覇を果たしたヤクルトの高橋奎二投手(25)のことは、「赤ちゃん」と呼んだ。

 奎二は京都府中西部の亀岡市出身。自然豊かな場所で、中学時代は軟式野球をしとった。ぼくが見た試合は一塁を守っとった。すごい楽しそうに打ったり、走ったりしとった。

 走り方とかを見て、体のバランスがええ子やなあ、すごいセンスがあるなあ、と感じた。体は細いし、鍛えなあかんけど、ものになるかもしれん。そう思った。

 うちに入学したら、まず体づくりに励む。ぼくは1993年に監督になって間もなく、スポーツトレーナーにお願いして、とくに体の柔軟性と関節の可動域を広げる指導をしてもらっている。

 というのは、ぼく自身がウェートトレーニングの失敗例やから。日本新薬で社会人野球の選手だった80年代に、ラグビー部のコーチに教わって筋力トレーニングをしまくった。体重が8キロ増え、ホームランを打てるようになった。

 「日本新薬にええ薬あるぞ」「お前、なに飲んでんねん」と言われたものだ。

 だけど、代償として関節の可動域を失い、結果的に選手寿命を縮めることになった。

 母校の監督になると、筋肉をつけて体が大きくなった子がいっぱいおった。高校時代に身長が10センチ伸びる子もいる。成長期に、「アウター」はつけたらあかん。関節の可動域や筋肉の柔らかさを身につけ、筋肉は卒業してからつければいい。その方が長く野球ができる。ぼくはずっと、そういう方針を貫いている。

 奎二は「関節と筋肉のバラン…

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