キムワイプ(日本製紙クレシア製品)に、文化財の保存の現場では拭き取り以外の使い方があることが、元興寺文化財研究所(元文研、奈良市)への取材でわかった。
けばを残さずに水滴などを拭き取れるため、実験系の研究室などで重宝され「理系のお供」とも言われるキムワイプ。元文研のとある場所では見たこともない姿になっていた。
「他にはないキムワイプの使い方」、痛恨の取材不足
記者は今夏、人文社会系とされる考古学の現場でも、キムワイプが出土品などの保存処理に使われていることを記事にした。掲載後、取材先の元文研の総合文化財センター長、山田哲也さんからのメールには、丁重なお礼とともに気になる文言が添えられていた。
「分室で用いているようなキムワイプの使用方法は、ほとんど、他のところでは用いていないものだと思います」
元文研は、奈良市に本部と同センター、奈良県生駒市に生駒分室がある。前回の取材時に訪れたのは同センターで、土や石、金属などでできた出土品や文化財、絵画などの保存、修復を担っている。
出土することの多い何かが抜けている。そう、木簡に代表される木製品だ。
元文研は幾度かの移転を経ているが、木製品の保存処理を担う部門は大型の設備がある生駒分室に置かれている。
■巨大なプールで泳ぐ木簡、キ…
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