危機の時代、私はSNSをやめた マルクス・ガブリエル氏が語る倫理

有料記事朝日地球会議2022連載

GLOBE副編集長・宮地ゆう
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 新型コロナパンデミックと、ロシアのウクライナ侵攻で、今までの民主主義と資本主義のあり方が根底から問い直されている。国家という存在をどうとらえればいいのか。「倫理的な資本主義」はいかに可能なのか。ドイツの気鋭の哲学者、マルクス・ガブリエル氏に聞いた。

日本の国境閉鎖は「ナショナリズムの表出」

 ――コロナ禍で主要国はマスクやワクチンを奪い合い、自国の利益を最優先にしました。主権国家の優位性という概念が復活したのでしょうか。

 「パンデミックによって、私たちは、結局のところ国民国家が存在することを認識したのです。医療制度は国家単位のものです。私たちの社会は、基本的にまだ国民国家の論理で動いていて、その点では19世紀と同じです。純粋に経済的な意味でのグローバル化である、モノの交換だけでは、倫理的な問題を解決できない。それが教訓だと思います」

 ――パンデミックの民主主義への影響についてはどう見ていますか。

 「最も極端な形でのロックダ…

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