【2007年11月11日朝刊】
バイオ燃料の原料となるサトウキビの畑が、アマゾンに出現した。ブラジル国内の栽培面積は700万ヘクタールで80年の2・7倍に拡大。06年のエタノール生産量は約1800万キロリットルで、世界一の輸出国になった。原油1バレル=100ドル時代が現実味を増す中、環境破壊の懸念をはらみながら、ブラジルは次のエネルギー大国への道をひた走っている。
朝日新聞は2007年から長期企画記事「地球異変」で、地球温暖化問題の現場をルポと写真で追いかけ続けてきました。アーカイブで振り返ります。 (※記事は、紙面掲載日時点の内容です)
州の90%が熱帯雨林の北西部アクレ州。州都リオブランコ近郊にサトウキビ畑ができ、アマゾン初のエタノール工場の建設が進む。09年にも生産を始め、将来は3万ヘクタールの畑で年30万キロリットルのエタノールを生産する。
出資する同州政府のマウロ・リベイロ農業局長は「牧草地を畑に転換するので、新たに熱帯雨林を切り開く必要はない」と説明する。これまで、湿気が多いアマゾンはサトウキビに適さないとされてきた。だが、運営企業のジャーソン・フィリオ農業部長は「日差しが強く降水量も多い。サトウキビに向いている」。隣のアマゾナス州でもエタノール工場の建設計画が持ち上がっている。
ブラジルのサトウキビ生産面積は、30年には現在の3倍以上、日本の面積の3分の2にあたる約2500万ヘクタールにまで広がる見通しだ。生産量は3・6倍の6450万キロリットルになるという。
ブラジル政府は、環境保護区域を除いても9千万ヘクタールの栽培可能地域があると説明してきた。だが、すでにアマゾンにサトウキビ畑や工場ができつつある。
危機感を募らせるブラジル政…
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