ドミニク・チェンさんが考えるDX、そしてデジタル庁への期待は

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 「DXとは『ひとまずスマホかPCで従来の作業ができるようにする』ことではなく、『不要な操作・作業から人を解放する』ことだと思うのですが、残念ながら前者のレベルにとどまっているサービスが多すぎるように感じます」

 9月1日配信の記事「『こんなメールが来るほどやばいのか』 デジ庁発足1年、理想と現実」へのコメントで、情報学研究者で早稲田大学文学学術院教授のドミニク・チェンさんは、そう指摘した。

 日本のデジタル化の司令塔として、デジタル庁が発足して1年。専門人材を採用した官民一体の組織だが、次々に課せられた役割に態勢が追いつかず、本来の使命である行政のデジタル化も思うように進んでいない――。記事は、そんなDX(デジタルトランスフォーメーション、デジタル化による変革)の理想と現実のギャップを伝えた。チェンさんのコメントは、行政にとどまらない日本全体のDX状況を考察したものだ。

 チェンさんは昨年、シンポジウムで日本のDXの現状は100点満点で何点かと問われ、「30点」と答えたという。「適当な体感値」だったとしつつ、「他の登壇者の方たちが70点以上を付けられたのは意外に感じました」とも言及した。スマホやパソコンの普及率、電子決済や電気自動車の充電網などのインフラは「先進国レベル」と評価する一方、「押印・郵送などの効率の悪い商習慣や、各種行政系の情報サービスのデザインの悪さなどは大いに改善の余地がある」とチェンさんはみる。

 「見聞するところによれば、ある霞が関の省庁ではいまだにリモートワークが行われず、職場に対面で集まり、エアコンを切った状態で深夜残業をさせられているそうです。悪弊に誰しもが気づいているけれども、目の前の作業に忙殺されてよりよいルールの改訂に誰も時間を割けないのでしょうか」。公務員の働き方も心配するチェンさんは、コメントの最後でデジタル庁にエールを送った。

 「官公庁が『不要な作業』に拘泥する状況の中、デジタル庁には民間企業などより優秀な人材が多く集まっており、時間がかかるとはいえ正しいDXの考え方が浸潤していくことに期待します」

 この記事や、チェンさんのコメント全文はこちらから(http://t.asahi.com/wm5d別ウインドウで開きます)。同じ記事に、朝日新聞の前田直人コンテンツ戦略ディレクターもコメントしています。あわせて、お読みください。

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