逆境から生まれた「アメーバ経営」 稲盛和夫さん、たどり着いた哲学

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元編集委員・多賀谷克彦

 一つの会社を起こして、成長させ、継承するだけでも、そう容易に成し遂げられることではない。亡くなった稲盛和夫さんは、京セラと今のKDDIという二つの会社を設立し、日本を代表する企業に成長させただけではない。経営破綻(はたん)の後、二次破綻の恐れもあった日本航空(JAL)を短期間で再生させた。

 これほどの経営者は、もう現れないように思う。

 自ら関わった3社の設立、再建は、決して成功が約束されたものではなかった。むしろ無謀ともいえる挑戦だった。9年前のインタビューで「私の人生は逆境の連続でした」と話していた。その逆境を乗り越える体験から導き出した経営哲学、経営術が社員をまとめ、社会の共感を獲得していったのだろう。

 例えば、京セラ設立3年目、高卒社員がボーナスと賃上げを求め、直談判に来た。

 60年安保の翌年である。要…

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