大幅に予算減、「復興」は新局面へ…震災11年「これからが正念場」

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山本孝興 東北復興取材センター長・仙台総局長 岡本峰子
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 全国で関連死を含む死者・行方不明者2万2207人が出た東日本大震災から、11日で11年となる。今年度から復興の軸足は原発事故被災地の支援や被災者の心のケアに移り、復興予算は大幅に減った。関連死は今も増え続け、避難者が全国で3万人を超えるなかで、被災地への支援は細りつつある。

 国は震災から10年を復興の一つの節目とし、今年は政府主催の追悼式典は開かれない。岸田文雄首相は11日、福島県が主催する追悼式典に参加する。

 警察庁によると、10日時点で震災による直接の死者は全国で1万5900人、行方不明者は2523人。関連死は今年度に入り、福島県で11人増えた。うち帰還困難区域を抱える6町村では7人が認定され、震災以降で計1268人となった。直接死の198人を大きく上回る。

 復興予算は、道路や防潮堤、農地の復旧、宅地造成などのハード整備が中心だった前年度までに約31兆1千億円が使われた。

 国は今年度からの5年間を「第2期復興・創生期間」と位置づけ、復興庁の予算の使い道は、風評被害対策を含めた原子力災害からの復興・再生に約8割。残りが被災者の心のケアや産業、なりわい再生にあてられている。

 ハードの整備は完了しても、利活用はまだ途上だ。予算規模は今年度から大幅に減額され、新年度の復興庁の当初予算案は約5790億円。復興が本格化した13年度の2割に満たない。必要な支援が被災地に継続的に届けられるか。課題は尽きない。(山本孝興)

命を守る決意、社会で共有を 東北復興取材センター長・仙台総局長 岡本峰子

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