教皇に物申したノーベル賞学者の伝説 ガリレオまで遡る宗教と科学

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日曜に想う 論説委員・郷富佐子

 オーレー、オレオレオレー、ジョルジョー、ジョルジョー!

 ノーベル物理学賞の発表日。真鍋淑郎さん(90)が米国の自宅でインタビューを受けていたころ、同時受賞が決まったローマ大学教授のジョルジョ・パリージさん(73)は、大学内のバルコニーから手を振っていた。学生たちの歓声に促され、少し恥ずかしそうにあいさつした。

 「数えてみたら、私にはこれまで317人の共同研究者がいました。この協力なくしていまの私はあり得ません。受賞を機に、イタリア政府には次の予算で科学者への研究費を増やしてもらいたい」

 理論物理学者のパリージさんは、イタリアの大学院生や若手研究者の間で絶大な人気がある。数々の業績や飾らない人柄もあるが、一番の理由は、彼が「もの申す科学者」だからだと思う。

 「科学は実社会から乖離(かいり)した存在ではない」が持論で、専門外の社会問題などでも積極的に意見してきた。政治家や財界人など、批判の対象を選ばない。

 なかでも「伝説」として語られているのは、13年前に起きた「ローマ教皇の大学訪問阻止事件」である。

 2008年1月。当時のロー…

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