国軍の影響力が拡大、経済成長に暗雲 インドネシアの民主主義後退
インドネシアで「民主主義の後退」が進行している。3月に国会が可決した国軍法の改正案には、国軍の政府への影響力を強める内容などが盛り込まれた。かつての独裁時代をほうふつとさせる法改正が、国の経済成長の妨げとなる可能性も指摘されている。
「インドネシアには国軍が市民生活を支配した暗黒の時代があった。国会はそれを忘れたのか」
改正案が可決された3月20日、首都ジャカルタの国会議事堂前には500人超が抗議に集まっていた。ある参加者は拡声機を通じ、そう声を張り上げた。
抗議に加わった大学生のアグス・サリムさん(21)は「国軍が政治や市民生活に介入できるようになれば、自由が奪われる。法改正に市民の声は反映されていない」と憤った。抗議活動は約20都市で行われた。
今回の法改正で、現役軍人を登用できる省庁・機関が増える。現地メディアなどによると、改正前は国防省や政治・治安担当調整省など、国軍との関わりが深いとされる10省庁・機関に限られていた。だが、今後は検察庁や国家防災庁など、14省庁・機関に広がるという。
特に問題視されているのが、検察庁での登用だ。専門家は「司法の力が弱まれば、国軍の権力の暴走に歯止めが利かなくなるのではないか」との見方を示す。
独裁の歴史が生んだ法律
法改正を主導したとされるのは、昨年10月に就任したプラボウォ大統領だ。
プラボウォ氏は1966年か…
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