第5回少数与党、政策プロセス可視化の好機 牧原出教授が見る石破官邸

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聞き手・谷瞳児

 先の衆院選で大敗し、少数与党に陥った石破政権。これに伴い、石破茂首相が主導権を発揮できる政治状況が遠のき、第2次安倍政権の象徴でもあった「官邸1強」も消えました。この先、どのような政治のあり方を模索するべきなのか。日本政治史に詳しい牧原出(いづる)・東京大教授(政治学)に聞きました。

 ――政権復帰を果たした安倍政権、継いだ菅政権、その後の岸田政権と比べ、石破政権では首相官邸の存在感が低下したとみられています。

 政権発足当初は色々な混乱もあり、これまでの政権でも首相官邸が機能するまでそれなりの時間がかかっています。このため、現段階で「石破官邸」を評価するのは難しい。ただ、決して強い官邸とは言えないでしょう。何でも官邸が司令塔になっていた「安倍官邸」と比べると、受動的で調整型に映ります。

 ――国会における所信表明演説でも「石破カラー」が見えないとの指摘が相次いでいます。

 少数与党となり、今の国会では野党がカギを握るため、「石破カラー」を打ち出せる状況ではありません。当面は、野党から批判を浴びにくい「地方創生」「防災庁設置」といったテーマを進めるしかないでしょう。

衆院選の自民大敗で2012年の政権復帰以来、形を変えながら受け継がれてきた「官邸1強」が消滅しました。変質する権力構造を連載で検証します。

 ――首相が主導権を発揮していくにはどうすればよいでしょうか。

 かつての小渕政権がヒントに…

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