「言いたいことが山ほどある」元名物委員、エネルギー政策への注文

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聞き手=論説委員・西尾邦明

インタビュー連載「電ゲン論」

 「脱炭素社会」の実現が叫ばれるいま、あらためて「電気」をどうつくるべきなのかが問われています。原発の賛否をはじめ、議論は百出しています。各界の著名人にインタビューし、さまざまな立場から語ってもらいました。

<経済産業省資源エネルギー庁総合エネルギー調査会基本政策分科会>

 政府が閣議決定する「エネルギー基本計画」は、経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会のメンバーが議論して内容を詰めます。学者、経営者、消費者団体の幹部ら16人で構成。原発推進派が大多数を占め、化石燃料からの脱却にも多数が消極的との指摘があります。委員長は隅修三・東京海上日動火災保険相談役。

「原発比率は高すぎ、再エネ比率は低すぎ」

 政府が将来の電源構成を示す「エネルギー基本計画」のとりまとめに向けた議論が進んでいます。経済産業省の審議会のメンバーだった橘川武郎・国際大学学長は、原発推進でも反対でもない歯に衣(きぬ)着せぬ主張で注目を集めてきました。3年に1度となる今回の改定では、定年のためメンバーを外れましたが、「言いたいことが山ほどある」といいます。過去の計画の反省点と、エネルギー政策の将来像を聞きました。

 ――2021年につくった現行のエネルギー基本計画では、30年の電源構成を原発が20~22%、再生可能エネルギーを36~38%としています。実現できそうですか。

 「無理です。その計画をまとめた時も、非現実的だと考え、私ひとり反対しました。原発は東北電力女川2号機を含め13基が再稼働しました。ただ、計画の実現には、原子力規制委員会が再稼働を不許可とした日本原子力発電敦賀2号機や、審査中の10基を含めた27基が、設備利用率80%で稼働することが前提です。どう甘く見ても30年で20基前後、設備利用率70%がせいぜいです。原発が好きか嫌いかどうかではなく、頼りにならないというのが実態です」

 「ただ、再エネも30%ほど…

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    小熊英二
    (歴史社会学者)
    2024年11月29日15時17分 投稿
    【視点】

    この人は、根拠のないことは言わない人である。まっとうな意見は尊重すべきなのは言うまでもない。

    …続きを読む