「核のタブー」崩壊への危機感 ノーベル委員会が平和賞に込めた思い

有料記事核といのちを考える

編集委員・副島英樹

 ノルウェーのノーベル委員会は2024年のノーベル平和賞を日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)に授与すると発表した。核をめぐる問題を長く取材してきた記者が授賞の背景などを読み解いた。

 今、欧州と中東で核戦争の芽をはらむ戦争が起きている。東アジアでも中国や北朝鮮が核軍備を増強している。核使用のリスクはかつてなく高まっている中、日本被団協のノーベル平和賞受賞は、ノーベル委員会が抱く危機感の表れだろう。

 核兵器禁止条約誕生の原動力となった国際NGO「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」が2017年にノーベル平和賞を受賞してから7年。ICANのフィン事務局長(当時)が国連での条約署名式で「あなた方が与えてくれた証言、取り組み、あらゆる貢献に感謝します」と述べた広島・長崎の被爆者が、今度はノーベル平和賞に輝いた。

 同委員会はこの差し迫った危機に人類への警鐘を鳴らすため、被爆80年を迎える入り口のタイミングで、「二度と同じ体験をさせない」と訴えてきた被爆者の証言に立ち返ってほしいというメッセージを送ったように思える。高齢化する被爆者が存命のうちに、その思いを受け継げるようにと。

 長崎大学核兵器廃絶研究セン…

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この記事を書いた人
副島英樹
編集委員|広島総局駐在
専門・関心分野
平和、核問題、国際政治、地方ニュース
日本被団協 ノーベル平和賞受賞

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