「片づけられない女」批判に潜む偏見 発達障害と診断、柴崎友香さん
小説家の柴崎友香さん(50)が、3年前に発達障害のADHD(注意欠如・多動症)と診断された体験をつづった「あらゆることは今起こる」(医学書院)を出版しました。柴崎さんの困り事の一つに、「部屋が片づかない」問題があるといいます。でも男性だったら、そこまで問題視されるのでしょうか。発達障害の特性に潜むジェンダーバイアスについて、柴崎さんに聞きました。(聞き手=編集委員・岡崎明子)
――20年ほど前、「片づけられない女たち」という本を読んだときに「私のこと!」と思ったそうですね。
小さいころから「片づけていない」「家事をやらない」「寝てばかり」と、毎日のように家で怒られていました。私が子供の頃は今よりも性別による役割意識が強く、弟は家事をするようには言われていなかった。親とはよくけんかしました。
小学校でも、忘れ物をするとクラス全員の名前が書かれた壁の表にシールをはられたのですが、「女子の中で、自分だけ突出しているなあ」とは思っていました。机の中からカビが生えたパンが出てきた時も、男子の机から出てくるのと、女子の机から出てくるのとでは、「えーっ」の意味もやっぱり違うじゃないですか。
――どう違うんでしょう。
「女子なのに……」という感じでしょうか。
――ADHDと診断された女性の方が、男性に比べるとうつ病になりやすく、自己肯定感が低いというデータもあります。
私もずっと、自分はやるべきことができないだめな人間なんだと思い続けてきました。
人や状況によって差は大きい…