朝ドラ「虎に翼」が描いた朝鮮人留学生 香淑のモデルや実際の生活は

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安仁周

 現在、放映中のNHK連続テレビ小説「虎に翼」は、様々なマイノリティーや弱者の姿も描いています。主人公の寅子(伊藤沙莉さん)の同級生で、ハ・ヨンスさんが演じる朝鮮半島からの留学生、崔香淑(さい・こうしゅく、チェ・ヒャンスク)も、そんな重要な登場人物の一人です。当時の女子留学生は日本でどんなふうに学んでいたのでしょうか。香淑にモデルはいたのでしょうか。近代朝鮮教育史が専門で、このドラマの朝鮮文化考証に協力した大阪産業大学准教授の崔誠姫さんに聞きました。

――ドラマのどんなところについて、考証をしていたのでしょうか。

 朝鮮半島の近代女子教育について研究しています。主に事実関係や用語などを確認しましたが、NHKの担当者は資料や文献などを丁寧に読んで詳しく調べていました。たとえば食事。兄と食事中に特高警察が来る場面がありますが、当時の資料をもとに食卓には大根のナムルのようなおかずと、赤いスープが細かく再現されていました。兄が香淑に送った手紙も当時のつづりや文体、漢字語などもスタッフたちと特に念入りに確認した部分です。

 「朝ドラに朝鮮人がきちんと登場したのは初めてなのでは」と崔准教授は指摘しています。記事後半では「香子」という名前で再登場した香淑についての考察も。日本と朝鮮半島の歴史を知ると「虎に翼」をより深く理解することができるはずです。

――どうして朝鮮人留学生を登…

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    武田緑
    (学校DE&Iコンサルタント)
    2024年6月30日21時9分 投稿
    【視点】

    「香淑の描き方に物足りなさを感じている人もいるようです」 まさにその一人でした。分かりやすい悲惨さがほしかったわけではありませんが、もう少し情報提供がほしかったと感じていました。ここで明らかにされているようなディティールの表現に気付ける視

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    小熊英二
    (歴史社会学者)
    2024年6月30日21時57分 投稿
    【視点】

    日本国憲法第14条は、草案段階では「国籍」の差別を禁じていた。それが最終的には「すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」となり、「国籍」は抜けた。

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