広島市にダブスタ批判 8月の平和記念式典に招くのか、分かれた判断

有料記事核といのちを考える

魚住あかり 小川崇

 広島市が今年8月6日の平和記念式典にロシアとベラルーシの代表を招待しない一方、イスラエルを招待することが物議を醸している。現在進行形の二つの危機に被爆地はどう向き合うべきなのか。

 広島市は2006年から日本に大使館のあるすべての国の代表を式典に招待してきたが、ウクライナ侵攻が始まった22年、「ロシアを招待することで参列を見送る国が出る可能性がある」として、ロシアと同盟国ベラルーシの招待を見送り、今年も3年連続で招かない方針を発表した。

 一方、昨年10月にはパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスがイスラエルを急襲し、ガザでの戦闘が始まった。パレスチナはもともと招いていなかったが、攻撃を続けるイスラエルは今年も招待することを決めた。

 紛争当事者を巡って対応が分かれたことについて、松井一実市長は4月の会見で「片方の戦争が良くて、片方の戦争が悪いとは一言も言っていない」と説明。記者から「ダブルスタンダードに見える」と問われ、「あなたの解釈です」と声を荒らげる場面もあった。

 今月21日の市議会では、市…

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この記事を書いた人
小川崇
長崎総局

戦争・平和

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    江川紹子
    (ジャーナリスト・神奈川大学特任教授)
    2024年5月24日14時50分 投稿
    【提案】

     市長がどんなに声を荒げて否定しても、このままではダブルスタンダード批判はやまないでしょう。  ロシアは戦争に関して「事実に反する主張」をするけれど、イスラエルは「そのような可能性はない」などという独自の主張は、まったく説得力を持ちません。

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