自民党派閥の裏金事件を受けて開かれた衆院政治倫理審査会で、岸田文雄首相(党総裁)は野党の追及に従来の説明をひたすら繰り返した。実態解明にほど遠い内容だったが、自民は説明責任を果たしたとばかりに新年度予算案の採決強行を決定。立憲民主党などは批判を激化させている。
29日午後2時過ぎ、他の閣僚や答弁を補助する首相秘書官もいない異例の環境で、現職首相として史上初めて臨む政倫審が始まった。
冒頭の弁明で繰り出した岸田首相の決意表明は重厚だった。「なぜ問題が生じた際に、政治家自身の責任が十分に果たされないのか。政治は特別という特権意識があったならば是正し、改革を進めなければならない。私自身が先頭に立つ」
しかし、その後の質問者とのやりとりは、決意の言葉とはほど遠い内容だった。とりわけ鮮明になったのは、裏金をめぐる疑義を次々とただした共産党の穀田恵二氏との質疑だ。首相は、裏金を作っていた議員への聞き取り結果をまとめた党の報告書を盾に、説明を避け続けた。
「誰が何のために裏金のシステムを作ったのか」。穀田氏は安倍派の裏金作りが、少なくとも十数年前から続いていた可能性を指摘。同派の元会長である森喜朗元首相に事実関係を確かめたのかを問うた。
側近「新たな事実述べても…」
これに首相は「少なくとも十…