小澤征爾さんへ恩師が最期に言ったこと 同門の秋山和慶さんが悼む

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聞き手 編集委員・吉田純子

 指揮者の小澤征爾さんが6日、88歳で亡くなった。小澤さんと二人三脚で、恩師の斎藤秀雄の名を冠するサイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)を創設した指揮者の秋山和慶さん(83)が、「本当の兄のように」慕った小澤さんとの日々を振り返る。

あきやま・かずよし

東京生まれ。洗足学園音大芸術監督・特別教授、広島交響楽団終身名誉指揮者、文化功労者

 いつもつかず離れずでした。亡くなったなんて言われても、すぐには理解できないです。心に大きな穴が開いたようで、今もまだぼーっとしています。「お前、バーンスタインそっくりになってきたな」と斎藤先生に言われ、うれしそうに照れ笑いする小澤さんの顔を思い出しています。

 そもそも、僕を音楽の世界へと引きずり込んだのが小澤さんでした。中学3年の時、たまたま桐朋学園のオーケストラの演奏を聴いたのですが、その時の指揮がまだ大学生だった小澤さんで。すごく精密なのに、躍動的。心をわしづかみにされました。この響きの中に入りたい。生まれて初めて切実に思い、楽屋におしかけ、さっきまで舞台にいた小澤さんに「オーケストラに入れてください。ラッパでも太鼓でも何でもします」と直談判しました。

 そしたら小澤さん、僕の首根…

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