「裏金、ふざけるな!」。東京都のJR中野駅前で1月から、自民党の裏金問題への抗議の声を上げる女性がいます。都内在住のライター和田静香さん(58)です。
コロナ下でバイトをクビになった和田さんが政治家に突撃インタビューした著書「時給はいつも最低賃金、これって私のせいですか? 国会議員に聞いてみた。」(2021年、左右社)が、「政治本」としては異例の2万7千部のヒット。政治不信が極まる今、私たちはどう政治と向き合えばいいのか、聞きました。
「有権者をバカにしているのか」
――怒ってますね。
自民党ふざけるな、です。「政治にはカネがかかる」なんて開き直る政治家もいますが、庶民感覚から完全にずれています。
ポスター代や人件費など必要経費は分かりますが、釈明会見で「偉くなるために必要だった」と言う議員もいました。使途を明らかにしてもどんぶり勘定の議員も多く、有権者をバカにしているのか、と憤っています。
――ただ、政治不信は高まれど、有権者の怒りは広がっていないようにも感じます。
腹の底ではみんな怒っていると思いますよ。でも、どう怒ればいいのか分からない。私もそうでしたが、ふだん関心をもって話したり見聞きしたりしていないと、政治を批判する言葉は出てこないんです。
特に政治とカネの話は難しいと感じてしまうし、間違ったことを言ってしまうのも怖い。私も自分の言葉で話すことをためらいます。でも、怒りはあるので、言葉を借りたくて新聞記事を朗読する方法で抗議を始めています。
パー券を買った人のための政治
――新聞の朗読ですか。伝わりますか?
正直、これをしたから何かがすぐ変わるとは思っていません。でも、私の前を行き交う人たちが、一瞬でも「怒っていいんだな」と気づいてくれればいいんです。中には立ち止まって話をしてくれたり、お茶を差し入れてくれたり、私もやりたい、と朗読に参加してくれたりする人もいます。
――裏金問題、どう思いますか。
自民党の政治には、私たちの出番ってないんだなと思いました。2万円のパーティー券を買った人たちのために政治をしていて、経済的に余裕のない私たちは最初から除外されているんだ、と改めて思いました。そりゃ、政治への関心なんてなくなりますよね。
40代単身、時給は最低賃金
――以前の和田さんも、政治に関心はほぼなかったそうですね。
はい。20~30代の頃は…
- 伊藤和行
- 那覇総局長
沖縄、差別、マジョリティー、生きづらさ