トランプ旋風に抗う「絶滅危惧種」 超党派で歩んだ地方政治家の憂い
連載 混迷を歩く アメリカ大統領選2024:アイオワ編⑤
民主、共和の党派によって人々が引き裂かれていくかのような米国社会。その流れにあらがおうとする2人組に出会ったのは、ラストベルト(さび付いた工業地帯)にある小さな町でのことだった。
取材の拠点にしたアイオワ州マスカティーンから3時間ほど車を走らせると、州北部のチャールズシティーに着く。出迎えてくれたのは、州下院議員を務めてきた2人の男性だった。
【1回目から読む】連載 混迷を歩く アメリカ大統領選2024 アイオワ編
11月の大統領選に向けた共和党の候補者選びが、アイオワ州から始まりました。トランプ前大統領が根強い人気を誇るのはなぜなのか。記者がある田舎町に滞在し、有権者たちと対話を重ねた記録です。
1人は民主党のトッド・プリチャード(49)。共和党が強い地方では珍しく、5期10年近くにわたって民主党の議席を守ってきた。「トランプの登場でアイオワ州の地方部が真っ赤(共和党の支持基盤)になるなかで、田舎では私が最後の民主党議員だった」と自己紹介する。
もう1人は共和党のジョシュ・バーンズ(49)。穏健派の共和党員として、7年前まで議員を務めた。
同い年で、隣り合う選挙区から選出されてきた2人。「トッドとは一緒に法案に取り組んできた。私たちは政党を超えて協力することができた、最後の世代かもしれない」とバーンズは言った。「私たちは絶滅危惧種だ」という冗談に笑いが起きる。
トランプの影響は地方政治にはっきりと及んでいる――。2人はそんな懸念を次々と口にした。
「政党を超えて協力、私たちが最後の世代」
「トランプ流の『衝撃と畏怖…
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