「このままでは肛門が…」20代から便秘、繰り返した痔 女性の決断

有料記事患者を生きる

鈴木彩子

 「そういえば、今週も出ていなかったな」

 今から15年ほど前。当時、35歳だった会社員の女性は、便意をもよおした気がして、トイレにこもっていた。

 いつも便秘がちで、仕事のある平日は便が出ない。週末に下剤を使って出すのが定番だったが、その日は下剤が手元になかった。

 翌日は早朝から、夫と友人家族と出かける予定があった。「今日、出しておかなきゃ」と心に決め、「ふーん!」と頑張ること数十分。カチコチになった便をなんとか押し出すことができたけれど、お尻に、今まで感じたことのない違和感が残った。

 ひどく出血したわけではない。でも、肛門(こうもん)の奥の方で打ち身を起こしたような、なんとも言えない嫌な感じがする。お尻に「ただ事ではない何か」が起きた気がした。

 子どもの頃から便秘がちだった。外出すると緊張のスイッチが入るのか、そもそも便意を感じない。家以外の場所では用を足せない性格でもあった。

 22歳で就職すると、症状は悪化した。会計業務が担当で、始業時間に遅れないように、お金を数え間違えないように……と一日中神経を使う。その緊張感からか、仕事に行く平日は、月曜から金曜までまったく便意が起きなかった。

 週末になるとさすがにおなかが張ってくる。それを週1回、下剤で出すのが日常になっていた。

 それでも、生活に大きな支障はなかった。

 35歳のその日までは。

硬くなった便、無理やり押し出すと…

 お尻のあたりがずーんと重く…

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    岡崎明子
    (朝日新聞デジタル企画報道部編集長)
    2024年1月9日7時45分 投稿
    【解説】

    寒くなると水分の摂取量も減るせいか、便秘に悩む人が増えます。朝デジでも、便秘関連の記事がよく読まれるようになると「あ、冬が来たんだな」と実感します。 かく言う私も便秘体質で、朝一番に白湯を飲むなど色々とと試していますが、特効薬はありません

    …続きを読む