東北大 新総長候補5人を発表 初の女性候補も

福留庸友
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 【宮城】東北大学の次期総長候補者5人が11月、公表された。2024年3月に任期満了となる大野英男総長(68)の後任となる。東北大は今年、世界トップクラスの研究力をめざす国の「国際卓越研究大学」に国内の大学で唯一、認定候補に選ばれた。新総長はそのかじ取りを担う。来年1月末までに1人に絞られる見込みで、注目される。

 総長選考・監察会議が1次候補者として11月中旬に公表したのは5人。理事で副学長(総務・財務・国際展開担当)の植木俊哉氏、加齢医学研究所の川島隆太氏、理事で副学長(共創戦略・復興新生担当)の冨永悌二氏、元理事で名誉教授の花輪公雄氏、名誉教授の原山優子氏だ。

 原山氏は理化学研究所の元理事でもあり、04年の独立行政法人化以降、初の女性候補となった。政府の生命倫理専門調査会の会長を務め、16年にはヒト受精卵の操作を伴う基礎研究を限定容認する報告書をまとめた。

 同会議は、KDDIの小野寺正元社長が議長を務め、企業の社長や名誉教授らの学外委員6人と、総長補佐などが務める学内委員6人の計12人でつくる。

 1次候補者は、国立大学法人法で定められた、大学の経営に関する重要事項を話し合う「経営協議会」と「教育研究評議会」、「専任の東北大教授または准教授30人以上」で推薦された中から、選んだという。

 関係者によると、原山氏は自身が学外委員を務める経営協議会から推薦された。これまでにない形で異例という。原山氏以外の4人は、学内の教職員が投票権を持ち、10月に行われた意向投票を経て推薦されたという。意向投票の1位は、国際卓越研究大学の認定を進め、現総長路線を引き継ぐとされる冨永氏。2位は現総長路線に懸念を抱く教職員の支持を集めたとされる花輪氏だった。

 同大のある教授は「卓越大の申請は、学内での発表が文部科学省の発表と同日だった。(大学研究の重要事項について話し合う)教育研究評議会で実質、審議されていない。数値目標にも懸念を抱く教職員は多い」と話す。卓越研究大を推進する現体制に、学内の反発もあるという。

 同大広報室は朝日新聞の取材に「選考過程中における個別取材については対応いたしかねます」と回答。同会議で候補者を選出する基準などについても応じていない。福留庸友

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