Re:Ron連載「西田亮介のN次元考」第5回
国立大学法人法の改正案が開会中の臨時国会で審議中だ。大学教員などには「学問の死」「大学自治の危機」を招くといった強い批判があり、ハッシュタグを使った反対キャンペーンも行われている。改正案で設置される「運営方針会議」の人選に文部科学大臣の承認が必要なため、政府の影響力が強まるという懸念もある。日本学術会議の任命拒否問題が念頭にあるのだろう。
今回の改正は、高等教育行政に広く影響を及ぼす内容である。普段、関心の対象になりにくい国立大学法人法が注目され、批判の声が上がるのは理解できるし好ましい。
中身としては、「国立大学法人等の管理運営の改善並びに教育研究体制の整備及び充実等を図るため」という味も素っ気もない一文のもと、一部の大規模国立大学法人を中心に大きな権限をもった「運営方針会議」の設置を求めることを軸に、保有資産の弾力運用を可能とすること、東京医科歯科大学と東京工業大学を統合することなどを含んでいる(大学統合は大学間の合意を法的にオーソライズするにとどまり、あまり論点はない)。
確かに、注目するべきは「運営方針会議」なのだ。少していねいに見ていけば、この間の大学改革について賛否のどちらの立場からみても、無駄に無駄を重ねるようなものであるというのが、筆者の理解である。
改正の詳細については、巷間…
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