科博など国立文化施設に20億円、設備更新を支援 文科省補正予算
光熱費や資材費の高騰が国立文化施設の運営を圧迫していることを受け、文部科学省は10日、国立科学博物館(科博)など四つの独立行政法人(独法)に、施設整備費として計20億円を支援すると発表した。2023年度補正予算案に計上した。
支援の対象となるのは科博のほか、東京国立博物館(東博)などを所管する国立文化財機構▽東京国立近代美術館などを所管する国立美術館▽国立劇場などを所管する日本芸術文化振興会。
科博に対しては、茨城県つくば市に建設中の新収蔵庫に収納棚を整備する費用として7億8千万円、電気設備の制御を行う中央監視室の設備更新に5千万円の計8億3千万円を計上。東博に対しては、平成館の空調工事費として2億7千万円を充てる。
文化庁企画調整課によると、老朽化した設備を消費電力の少ない省エネ設備に更新し、光熱費を抑制することがねらいという。同庁の今井裕一文化戦略官は「恒常的にかかる光熱費については、財政当局と相談しながら来年度本予算の運営費交付金でしっかり措置していく」と話した。
国立文化施設をめぐっては、東博の館長が今年1月に月刊誌「文芸春秋」への寄稿で、22年度の光熱費が予算の倍以上の4億5千万円に膨らむ見込みだと苦境を訴えた。一方、科博は8月、資料や標本の保存体制が危機にあるとしてクラウドファンディングを開始。今月までの3カ月間で、目標の1億円を大きく上回る9億2千万円を集めて話題となった。(平賀拓史)