幸せな人が成功する? 仕事と「自分らしさ」に入り込む資本の論理

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聞き手・田中聡子

 自分らしさを大切に――。そんな言葉をよく耳にするようになりました。このことには、どのような社会の変化が影響しているのでしょうか。社会学者の山田陽子さんに話を聞きました。

     ◇

キャリア教育と就活が強化したもの

 「自分らしさ」を大事にしようという傾向はここ数十年の間顕著です。この「自分らしさ」には、社会的な要素が入り込んでいます。特に労働や消費社会との関連が強い。

 「将来の夢」にはほとんどの人が職業を挙げるように、自分が「やりたいこと」は社会的に認められるものであるべきだという暗黙のルールがあります。学校でのキャリア教育や就職活動の中で「自分が何をしたいか」「どんな仕事に就くか」を考えることを通して、「自分らしさ」と職業の結びつきはより強固になりました。が、何かがずれている気もします。

「何者かになること」を求める声

 私たちは将来どこに住み、誰…

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    小松理虔
    (地域活動家)
    2023年10月30日17時12分 投稿
    【視点】

    記事にある、この指摘にハッとさせられました。 ーー仕事を通して成功をつかみ、幸せになる」のではなく、「日々充実し、幸せな人が成功する」という図式へのイメージの転換が生じている現在、戦略的な自己管理や癒やしのための情報もあふれていますー

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    千正康裕
    (株式会社千正組代表・元厚労省官僚)
    2023年10月30日19時15分 投稿
    【視点】

    近年、キャリアに対する考え方は大きく変化していると感じる。特に、若い人たちの意識は自分たちが就職した25年前と大きく変わっていると感じる。 25年前も、会社にずっとぶらさがるのではなく、自分でキャリアを作っていかなくては、というような

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