科博クラファン8億円、本当の「収穫」は 篠田館長が語る本音

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聞き手・山口宏子
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 光熱費の高騰などで苦境に陥った東京・上野の国立科学博物館(科博)のクラウドファンディングが、大きな反響を呼んでいる。目標額の1億円を1日で達成し、すでに8億円を超えている。

 先頭に立った篠田謙一館長は成功を喜びつつも、巨大な支援にどう応えるべきかという次の問いと向き合い始めた。11月5日の募集終了を前に、クラファンに踏み切らざるをえなかった博物館の実情と、そこから得たものを2回のインタビューで語ってもらった。

 ――驚くほどの支援が集まっていますね。

 「これほど多くのご支援をいただけるとは全く予想外です。心から感謝しています」

 ――国を代表する博物館で、光熱費を賄うのが難しくなり、活動の根幹である標本保存がピンチに陥っているという訴えに驚きました。

 「今年度の当初予算は総額35.5億円ですが、光熱費は3.8億円かかる見込みです。2年前の2倍近くに跳ね上がっています」

 「実は、危機は昨年から続いていました。コロナで来館者を迎えることができない時期が長引き、入場料収入が落ち込みました。一方で建設中の新しい収蔵庫の資材などが高騰し、運営費からの補塡(ほてん)が必要になった。加えて、国際情勢によるエネルギー高騰などで光熱費が急激に上がったのです」

 「できる限りの節約をしましたが、それでも予算が足りなくなることがわかり、昨年12月、執行する前の研究費や事業に関わる予算をできる限り引き上げました。費用のかかる調査や予定していた機材の購入などをストップしたのです。同じ頃に国からの運営費交付金の今年度の額が固まりましたが、上がり続けている光熱費などを考えると、再び予算不足になるのは必至でした」

国の対応、踏み切った決断

 ――情勢の変化に応じて、国は追加で予算をつけないのでしょうか。

 「もちろん最初にお願いしま…

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