芥川賞の市川沙央さん「重度障害者の受賞なぜ〝初〟か考えてほしい」

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田中瞳子

 第169回芥川賞の選考会が19日、東京都内で開かれ、市川沙央さんの「ハンチバック」(文学界5月号)に決まった。記者会見の一問一答は次の通り。

 ――いまの気持ちを教えて下さい。

 わたしは強く訴えたいことがあって、去年の夏に初めて純文学を書きました。それが「ハンチバック」です。こうして芥川賞の会見の場にお導きいただけたことは非常にうれしく、我に天佑(てんゆう)ありと感じています。

 ――記念撮影で、重い本を2冊持って写真を撮られていたときの気持ちは?

 ちょっと長かったのでぷるぷるしていました。

 ――選考委員の平野啓一郎さんの講評で、「ハンチバック」には議論を喚起する力がある。常識を批評的に解体した作品だという評価がありました。

 たいへんありがたいと思います。そう読んでいただけたことは、非常に自信になると思います。

 ――選考会では、作品の最後の展開について議論になったそうです。平野さんからは、視点人物が最後に代わったことをもって、フィクションライターの誕生と受け取ったという説明がありました。改めてそうした読みに対してどう感じますか。

「ハンチバック」に当事者小説という言葉が無批判に使われると思うがーー。記者の質問に、市川さんが答えました。

 自由に読んでいただきたいと…

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