「ジブリ飯」はなぜおいしそうか 宮崎駿監督に教わったAIの限界
AI(人工知能)によって「汚染」されたインターネットに、もはや本当の情報は残っていない。今こそ、ネットから切り離された「百科事典」が必要だ――。AI研究者の清水亮さん(46)は、こんな刺激的な分析をしています。AIは私たちの社会に何をもたらすのか。話を聞くと、スタジオジブリでの意外な体験に行き着きました。
――本の執筆に生成AIのChatGPT(チャットGPT)を使っているそうですね。
今月と来月に1冊ずつ本を出しますが、両方ともチャットGPTを使って書いています。途中までは自分で文章を書いてその続きを書かせるとか、「今とは違った視点を提示して」と指示すると、面白いアイデアを出してくれたりもする。
僕はかなり早く導入した方ですが、遠からず、いや、ものすごく近い将来、なんなら年内にもほぼすべての書き手がそうなると思います。
文章に紛れ込むウソ
――不都合はありませんか。
どこが自分の書いた文章で、どこからがそうでないのか、もうワケが分からなくなるんです。しかも、チャットGPTが書いた部分に、あまりにもスルッとウソが紛れ込んでいたりします。
書くのはものすごく楽になった半面、事実関係の確認が非常に難しくなりました。きちんとした出典に当たるのが、一番時間がかかりますね。
――事実確認はどうやって?
たとえば「ナントカ百科事典」の「何年版」に載っていると、すごい説得力がある。知識というのは、「誰が」「いつ」書いたかがはっきりしていることがすごく重要なわけです。
清水さんはスタジオジブリに通っていた際、宮崎駿監督らの行動から、「AIに足りない物」を考えました。記事の後半でお伝えします。
――インターネット上には膨大な情報があります。何もアナログな百科事典に回帰しなくても。
今や、インターネットにある…
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- 後藤遼太
- 東京社会部|メディア・平和担当
- 専門・関心分野
- 日本近現代史、平和、戦争、憲法
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