十四世名人の系譜を継ぐ棋士 固唾をのんで見守る将棋名人戦

杉本昌隆八段の「棋道愛楽」

 二つの現象の間で起きる時間のずれの「タイムラグ」。掲載が数カ月後の雑誌の取材を受けることがありますが、私は自分を紹介する原稿確認でいつも悩みます。

 「杉本八段。藤井聡太竜王(六冠)の師匠」

 こんな表現がよくあります。私の段位は同じでしょうが、藤井竜王の肩書は掲載時に変わっているかも知れません。タイトルは取ったり取られたりするものだからです。

 記事の後に(肩書は当時)と入れれば解決しますが、できれば最新のものを入れ込みたいもの。印刷会社や企画側も頭を悩ますようで、「藤井棋士」「藤井聡太」と色々な表現をしています。

 取材記事で、私が藤井竜王の敬称をつけずに語るケースがありますが、実はこのような事情があるのです。

 このコラムが配信されるまさに当日、渡辺明名人対藤井竜王の第81期名人戦第5局が行われています。

 タイトルは挑戦して取り損ね…

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