第7回紙の本売るためにできること 「ハマの本棚」が挑む書店の再定義とは

有料記事本と暮らす

聞き手・伊藤良渓

 明治時代の創業以来、横浜を中心に関東地域で愛され、「ハマの本棚」の異名をとる有隣堂。まちの書店の魅力や「書店の再定義」とは。広報・マーケティング部長の渡辺恭(ただし)さん(55)と同部の市川紀子さん(48)に聞いた。

 ――ハマの本棚の異名をどう受け止めていますか

 渡辺 小さい頃から、本とふれあう場所だったというお客さん、地元の方が多く、いいイメージを持っていただいているのかなと感じます。

 市川 横浜関連や地元出版社の本について、使命感をもってコーナーを設けています。特に伊勢佐木町本店には「変わらない魅力」があると思います。地下1階から5階まで、文芸書やコミック、人文系の専門フロアや文具フロアなど、豊富な品ぞろえが本店の強みです。

 「ここに来ればなんでもそろう」と信頼していただく度合いの強さが他店舗とは違う。オールラウンドに対応できる店舗です。

「書店の再定義」が必要

 ――近年は「独立系書店」が増えています

 市川 独立系書店の店主の目…

この記事は有料記事です。残り1390文字有料会員になると続きをお読みいただけます。

※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません

  • commentatorHeader
    サンキュータツオ
    (漫才師・日本語学者)
    2023年6月3日8時0分 投稿
    【視点】

    店舗の大小を問わず勉強熱心な書店員さんたちの努力には頭が下がります。 いまや「本を買いたいと思っている人」に向けて本を売る、というのでは先細りが見えていますよね。したがって「潜在的に本に興味がありそうな人」が集まる場所づくりとして、このよう

    …続きを読む
  • commentatorHeader
    太田泉生
    (朝日新聞コンテンツ編成本部次長=人権)
    2023年6月3日11時48分 投稿
    【視点】

    私は書籍は書店で買う。いろいろ理由があるが、大きな理由は、ブックカバーをかけてもらうのが好きだからだ。自宅の本棚には、有隣堂のカバーがかかった本がたくさん並んでいる。 横浜で長く勤務し、いまも暮らしているので、有隣堂の変遷はずっと見て

    …続きを読む