藤井聡太竜王、局後に明かした驚異的な読み 絶句した佐藤天彦九段

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村瀬信也

 渡辺明名人(38)に藤井聡太竜王(20)=王位・叡王・棋王・王将・棋聖と合わせ六冠=が挑戦する第81期将棋名人戦七番勝負第1局(朝日新聞社、毎日新聞社主催、大和証券グループ協賛、藤田観光協力)が5、6の両日、東京都文京区のホテル椿山荘東京で指され、藤井竜王が110手で勝った。渡辺名人の4連覇が、藤井竜王の史上最年少での名人獲得と2人目の七冠がかかるシリーズ。開幕戦は、藤井竜王の驚異的な読みの深さが光る内容となった。村瀬信也

 6日午後2時31分。藤井の右手がようやく盤上に伸びた。50手目△3五歩(図1)。攻めに必要な歩を補充する代わりに、相手の攻めの銀を呼び込むリスクもある。決断の一手だ。

 藤井がこの手に費やした時間は1時間47分。正午から1時間の昼食休憩を挟んでいたので、さらに考えたことになる。勝負どころを自覚していたからこその長考だった。

 この手を境に局面の流れが速くなった。互いに敵陣に攻め込んだが、徐々に藤井の優位が明らかになる。夕方の休憩明けの午後5時40分ごろ、82手目△9八竜(図2)の局面を見た副立会人の千田翔太七段(28)は「藤井竜王が優勢です」と断言。藤井はその後もリードを広げ、名人戦初白星を挙げた。

1時間47分の長考で、藤井竜王はどこまで先の展開を読んでいたのでしょうか。本人から返ってきた答えは、元名人の佐藤天彦九段が絶句するような内容でした。

 藤井と渡辺がタイトル戦で対…

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