クールジャパン機構が崖っぷち 政府肝いりファンド、巨額の累積赤字

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若井琢水
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 経済産業省が所管する官民ファンドクールジャパン機構(海外需要開拓支援機構、CJ機構)」が崖っぷちに追い込まれている。アニメや日本食の海外展開を支援するために2013年に設立されたが、累積赤字額は309億円に拡大。経産省は25年度に黒字転換させるとして存続をめざすが、財務省は組織の統廃合を検討している。

 22日に開かれる財務省の財政制度等審議会(財務相の諮問機関)の分科会で、経産省が新たな改善計画を示す。投資先の業績がコロナ禍で悪化したなどとして、従来の計画では24年度だった黒字転換の時期を1年遅らせる。計画の見直しは21年5月に続いて2回目で、今回も計画を達成できなければ、財務省は組織の統廃合に踏みきる方針だ。

 CJ機構は、第2次安倍政権成長戦略と位置づけた官民ファンドの一つ。今年3月時点で国が1066億円、民間企業24社が計107億円を出資している。国が主導し、これまで計56件の投資を決めたが、ほとんどが失敗している。

 代表例は、日本の映像コンテンツの海外展開だ。民間企業と共同でアニメ配信会社「アニメコンソーシアムジャパン」(出資額は10億円)や衛星放送会社「WAKUWAKU JAPAN」(同44億円)を立ち上げだが、動画配信大手の米ネットフリックスなどの台頭で失敗。国の出資分は民間企業に安く売却し、損失を出した。その後、事業は終了した。この二つの事業を含め、コンテンツの海外展開での損失は60億円にのぼる。

 政府内にも「いまクールジャ…

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