福音館書店相談役の松居直さん死去 「ぐりとぐら」世に出した編集者

 戦後の児童文学界を牽引(けんいん)し、多くの絵本作家を育てた福音館書店相談役の松居直(まつい・ただし)さんが2日、老衰のため死去した。96歳だった。葬儀は近親者で営んだ。

 1926年、京都市生まれ。同志社大学を卒業後、52年の福音館書店設立に参画し、社長、会長を経て97年から相談役を務めた。月刊物語絵本「こどものとも」を56年に創刊。編集者として、中川李枝子さんと山脇百合子さんの「ぐりとぐら」、加古里子(かこ・さとし)さんの「だるまちゃんとてんぐちゃん」をはじめ数多くの名作を世に送り出した。「うさこちゃん」シリーズなど海外の絵本や児童文学の翻訳出版にも力を入れた。

 自らも作品を手がけ、著書に「ももたろう」「だいくとおにろく」など。子どもと本をつなぐNPOブックスタートやJBBY(日本国際児童図書評議会)の会長も務めた。

■松居直さんの絵本づくりをめぐる歩み

<1926年> 京都市に生まれる

<51年> 金沢市の書店「福音館」に入社

<52年> 「福音館書店」創業に参画

<56年> 月刊絵本「こどものとも」創刊。「ぐりとぐら」「おおきなかぶ」「しょうぼうじどうしゃじぷた」など多数がロングセラー作品に

<62年> 「いやいやえん」刊行

<63年> 「エルマーのぼうけん」刊行

<68年> 同社社長に就任

<74年> 日本国際児童図書評議会(JBBY)の設立に参画

<85年> 同社会長に就任

<80年代~> 中国の各地で絵本の普及活動に取り組む

<97年> 同社相談役

<2000年> 0歳児健診などで読み聞かせ体験や絵本を贈る「ブックスタート」活動の立ち上げに参画

<05年> JBBY会長に就任

松居さんが見いだした作家

安野光雅、加古里子、長新太、寺村輝夫、中川李枝子、山脇百合子、赤羽末吉、瀬川康男……

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