子育て支援の新認定「くるみんプラス」に高田福祉事業協会 三重

山本知弘
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 100年の歴史をもつ津市の社会福祉法人高田福祉事業協会(津市大里野田町)が、厚生労働省が4月に拡充した子育て企業・団体の新認定「くるみんプラス」の三重県内第1号に選ばれた。子育て中の親が柔軟に休める仕組みで実績を重ねつつ、不妊治療を希望する働き手も支えてきたことが認定につながった。

 高田福祉事業協会は、1921(大正10)年にできた真宗高田派本山立の三重養老院がルーツで、介護施設や保育園を運営し、約220人が働く。有給で年間8日まで休める「育児目的休暇」や、計5日まで30分単位で使える「不妊治療休暇」など、仕事と家庭生活を両立させるための独自の休暇制度をもつ。

 「自然にやってきたことだが、評価されたのはうれしい」。常務理事で老人ホームの施設長も兼ねる高林光暁さん(75)は全国でもまだ少ない認定を喜ぶ。

 くるみんは、子育て支援に熱心な企業・団体を認定する制度だ。県内では約40社・団体が取得している。

 プラスは取り組みをさらに進めようと厚労省が4月に始めた。不妊治療のための休暇制度や相談体制が条件になる。くるみんも、男性の育児休業取得率を7%以上から10%以上にするなど条件が厳しくなった。

 県内初の「くるみんプラス」は、厳しい新基準を満たす職場環境が評価されたものだ。「認定がほしくて制度をつくってきたわけではない」(高林さん)と旧基準では認定をとっていなかったが、地域のリーダー役を期待する三重労働局の勧めで申請したという。

 協会の運営理念には「全ての救いを求める人々に手を差し伸べる」との一節がある。例えば不妊治療のための有給休暇制度は、夜勤などもある職員が安心して長く働けるようにと2016年につくった。これまでに2人が利用し、いずれも子どもに恵まれたという。

 一方、介護の現場は人手不足が続く。「認定が採用にもつながればうれしい」(事務主任の伊藤知美さん)と、今後は、くるみんプラスの認定マークを名刺に入れるなどし、求人活動にもいかしていく考えだ。

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 新基準の「くるみん」には、県内から百五コンピュータソフト、マクセルクレハ(いずれも津市)も選ばれた。(山本知弘)

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