谷亮子さんが考える 「勝利至上主義」と「勝利を目指す」の違い

有料記事勝利至上主義を考える

聞き手・中島鉄郎
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 小学生の柔道全国大会が、「行き過ぎた勝利至上主義」の是正を理由に中止された。子どものスポーツはどうあるべきか、いまさまざまな観点から問い直されている。小学校2年生から柔道を始め、世界の頂点での勝利も敗北も味わった五輪5大会連続メダリストの谷亮子さんは、どう考えているのだろう。

 1975年生まれ。福岡市出身。小学校2年で柔道を始める。シドニー、アテネ両五輪金メダルなど五輪で5大会連続メダル獲得。世界選手権でも7回優勝するなど48キロ級で圧倒的な強さを見せた。ヤワラちゃんの愛称で親しまれる。元参院議員。

 ――小学生の柔道全国大会の中止を聞いてどう思われましたか。

 「率直に寂しい気持ちがしました。私自身、小学生の時に全国大会に出場しています。憧れの大会でしたから、鮮明に覚えています。その年齢の、その時期の貴重な経験で、成長につながるものを得たからです」

 「大会が廃止されてしまうと、目指している子どもたちの目標の場所がなくなってしまいます。全日本柔道連盟での議論の結果、全て廃止するのではなく団体戦は残すことになり、5月の大会はその形で開催されました」

 ――「行き過ぎた勝利至上主義」についてはどう思われますか。

 「周囲が、子どもたちに対し…

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    若新雄純
    (プロデューサー・慶応大特任准教授)
    2022年7月31日10時1分 投稿
    【視点】

    「勝ち」ではなく「勝ちたい」にこだわる指導。人生というプロセスに強い人間を育てられるかも。

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    内田良
    (名古屋大学大学院教授=教育社会学)
    2022年7月31日11時54分 投稿
    【視点】

    柔道界は、2010年頃まで学校の部活動における中高生の死亡率が他の競技種目と比べて突出して高かったこともあり、とくに頭部外傷の予防を中心に、安全な指導方法を徹底して確立させました。その結果、いまでは中高生が死亡することなく、一方で昨年の東京

    …続きを読む